本シリーズコラムの最終回です。
最後は、これまでにお伝えしてきた内容をまとめていきたいと思います。
■スキル強化で重要なのは対象者に「目的意識と自分事として考え、実践してもらうこと」
営業に限らず、どの分野のスキルでも言えるのですが、重要になるのは「目的意識」を持ってもらうこと、「自分事」として捉えてもらうことだと考えています。
スキル教育を行う際に、目的が重要であることについては、本コラムシリーズの第1回でお伝えをしました。
また、第2回でも、営業教育を受ける方々に、今出来ていること、出来ていないことの自己認識をしていただくことの大切さについてもお伝えしました。
さらにここでは、スキルを実践できるようにするために、自分事として考え、実践してもらうことの必要性についてもお伝えします。
これが出来なければ、どんなに体系的にスキル教育が行える体制を整えたとしても、「研修に行ってこいと言われたから参加した」だけとなり、主体性のある活動は期待できません。知識習得に留まってしまい、スキルにならないということになります。
それでは、どのように自分事として考え、実践してもらうのが良いのでしょうか。
■自分事として考え、実践してもらうためのポイント
自分事として営業活動を進めていただくために、身につけたスキルを発揮できる場をセットできると、より効果は高まります。
例えば、「次の半期提案では、一連の教育で身につけたスキルを発揮しましょう」というように、教育に関連した一旦の区切りとして、実際に活用できる場を示してあげるということです。
そうすることで、これまでの営業活動、提案内容を振り返りつつ、次の提案でコレが出来るようになりたい!というように自分としての目的意識が生まれます。
さらに言えば、トレーニングを通じて、実際の提案内容について検討を進めることで、学んだ内容をもとに実践につなげる、実践したことから気づきを得る、というアクションラーニングの考えにも沿って進めることができます。
この際、提案を検討するところまでを実施するのではなく、振返りの場面も同時にセットすることもとても有効です。
実際の営業活動でどの程度活用できたのか、これまでとの変化はどこにあるのか、得意先の反応は?と振り返ることでまた次の提案にいかすことができます。
やってみた結果どうだったか。その際に相手から得た反応は何か。次の提案機会では何を目的に行うかということを明確にすることが、継続したスキル強化にもつながっていきます。
■スキル強化の支援のポイント
営業現場で実際に行動いただくのは、当然ですが受講者自身になります。そのため、手厚いサポートをすることも大切ですが、手厚すぎても機能しないケースもあります。
例えば、部分的な知識・スキル教育を動画にして、いつでも見られる状態にしておくことができるとします。
この場合、事務局としては受講者がいつでも見られて便利なはず!と思うのは自然なことですが、「いつでも見られる」としておくと、結局一部の積極的な方以外は活用しないというケースがよく発生します。
(無ければ無いで、あれが欲しい、これが欲しいという話になるのですが。。。)
また、研修の動画を録画しておいて、あとから見られるように配信の準備をしておくと、それはそれで、「あとで見られるならいいや」というマインドになり、当日の参加率が下がる傾向もあります。せっかく会社として用意したツールを活用するためにも、いかに、対象となる方々へ前向きな動機づけができるか、という仕掛けについても考えておくことは重要ではないでしょうか。
全5回でお伝えしてきた「消費財メーカーの営業スキル強化のポイント」についてはここまでとなります。
主にはスキルの全体像と細分化したスキル、特に重要なスキルの強化ポイントについてお伝えをしてきましたが、御社の営業強化の参考としていただけますと幸いです。
今後も、「消費財メーカーの営業強化」にお役立ちいただける内容についてコラムを整理していきますので、また機会を作ってお届けしたいと思います。
筆者