江藤さんの本部商談奮闘記って?
マーケティング研究協会トレードマーケティング部では「量販営業お悩み解決コラム~江藤さんの本部商談奮闘記~」と題し、量販営業における"あるあるなシーン"を取り上げ、その対処法や解決策などをお伝えするコラムです。
時にはコミカルに、時には真面目に、皆様の営業活動にお役立ていただける内容を配信してまいりますので、ぜひご一読いただければ幸いです。
さて、第一回目のお悩み解決コラム。今回は「小売業の意思決定」をテーマに取り上げてみようと思います。
登場人物のご紹介も織り交ぜながら、営業活動の大前提となる大切な視点をお伝えしてまいります。
登場人物のご紹介
本コラムの主人公、江藤さんが所属している「MK食品株式会社」のメンバーや、取引先の「TMスーパー」のバイヤーさんなどをご紹介。
カテゴリー市場シェア3位メーカー。バイヤーと直接商談できる得意先は多い。
- 江藤さん(営業担当)
- 前任の急な退職により、急遽TMスーパーの本部担当に抜擢
- 塚田さん(課長)
- 江藤さんの上司で、元エース営業担当
現在は担当先を持たずマネジメントに専念
- 鈴本さん(営業担当)
- MK食品の新入社員
- 椎谷さん
- 頼れる本部スタッフ、のちのち登場予定
関東を中心に伸び盛りなスーパー
SM業界TOP5も見えてきたところ
- 片岡さん(バイヤー)
- MK食品を含むカテゴリーに新しく着任
「前任よりも実績を出していきたい」とやる気満々
■江藤さんはじめての本部商談
会社としても大事な取引先「TMスーパー」の本部担当に任命された江藤さん。 はじめての本部担当ということもあり、やる気も満々。。なのですが。
【MK食品 量販営業部オフィス 202X年1月】
実績を上げられるように、しっかり商談していかなきゃな。)
あ、元エース営業の塚田課長、おはようございます!
うちにとっても大切な得意先だから、しっかり実績残してくれよな。
本部担当は初めてということだから、「元エース」としてフォローはするから。
とりあえず新製品の提案に行ってきます!
■江藤さんはじめてのバイヤーに合う
早速TMスーパーのバイヤーにアポイントをとった江藤さん。はじめての商談はうまくいくのでしょうか?
【TMスーパー 商談室】
新しく御社の担当となりましたのでよろしくお願いします。
私も今期からこのカテゴリーを担当することになりましたので、前任より実績を上げていきたいと思っています。MK食品さんのご提案には期待をしています。
弊社では新シーズンの新製品として・・・
この資料にありますように、弊社独自の革新的な製法で風味が・・・
栄養価も他社品に比べて・・・
くどくど、くどくど・・・
御社の新製品が良いものなのは分かりましたが、採用はできません。
■新製品が不採用といわれてしまった江藤さん、どうして?
片岡バイヤーとの商談で不採用を告げられてしまった江藤さん。凹みながらオフィスに戻ってきました。
【MK食品 量販営業部オフィス】
TMスーパーさん、この時期ならもうすでに棚割りはほぼ決まっている頃だからね。
いまさらうちの新製品を新規で導入してもらおうとしても無理があるんだよ。
(ていうか、江藤!さっき、人の話聞く前に、商談に飛び出していっただろ!)
そのスケジュールから遅れたら、当然提案を受けていれてもらえないし、まともに商談時間だってもらえない。
メーカーのうちにも会社全体の方針や計画があって、それに基づいて営業本部、量販営業部の方針や計画という感じになっているだろ?それと同じだよ。
TMスーパーさんも会社全体、商品部、カテゴリーという方針や計画の流れがあって、それに則って棚割りが検討されているということを覚えておかないと。
「どんな情報を元に、どんな場で、誰が関与して、最終的に誰が決裁しているのか」
スケジュールを含めて、得意先の意思決定の流れも押さえておくとベストだな。
さっきも言ったように棚割りは全社や部門、カテゴリーの方針や計画に基づいている。
より上位の意思決定に関われれば、棚割りの商談も優位に進めやすくなる。
関われなかったにしても、こちらがタイミングを把握していれば、方針や計画を早い段階で聞き出すことができる。
小売業では、販促部や店舗運営部と連携して施策を検討していることもざらで、商品部以外の意思決定のスケジュールや方法も把握しておくと尚良し!ということだな。
■江藤さんの本部商談、今回のポイント
第1回のコラム、いかがでしたでしょうか。
言われてみれば「そりゃ当たり前だよね!」ということだったかもしれませんが、実は「なんとなく」になっている方も多いと思います。
ぜひ一度、得意先の意思決定について把握できていること、できていないことを整理してみてはいかがでしょうか。
- ★今回のポイント★
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- 得意先の意思決定の進め方を把握することは営業活動の大前提
- 得意先の意思決定スケジュールに合わせた営業活動が大切
- 上位の意思決定に関与することで、商談を優位に進められる可能性が高まる
筆者