第4回のコラムでは得意先の企業・組織の情報について、何をどのように集めておくと提案に活かせるのかをお話してまいりました。
今回は得意先の店舗や売場に関する情報収集についてお伝えします。
登場人物のご紹介
本コラムの主人公、江藤さんが所属している「MK食品株式会社」のメンバーや、取引先の「TMスーパー」のバイヤーさんなどをご紹介。
カテゴリー市場シェア3位メーカー。バイヤーと直接商談できる得意先は多い。
- 江藤さん(営業担当)
- 前任の急な退職により、急遽TMスーパーの本部担当に抜擢
- 塚田さん(課長)
- 江藤さんの上司で、元エース営業担当
現在は担当先を持たずマネジメントに専念
- 鈴本さん(営業担当)
- MK食品の新入社員
- 椎谷さん
- 頼れる本部スタッフ、のちのち登場予定
関東を中心に伸び盛りなスーパー
SM業界TOP5も見えてきたところ
- 片岡さん(バイヤー)
- MK食品を含むカテゴリーに新しく着任
「前任よりも実績を出していきたい」とやる気満々
■店舗・売場を見ることで提案に活かせる情報は?
塚田課長に教わった「3つのゲート×3つのステップ」に沿った営業活動を実践中の江藤さん。
今回は得意先の情報収集の一環として、TMスーパーの店舗を視察しに来ました。
【TMスーパー ○○店】
さて、早速視察開始といきますか!
...って何すりゃいいんだっけ...。
塚田課長!なんでここにいるんですか!?
いざ来てみたら何すればいいんだっけ、となってしまいまして...。
じゃあそもそも得意先の店舗を見る目的はなんだ?
明確に言うなら「店舗や売場の現状を把握して、そこで起こっている問題を洞察して、得意先に提示するため」だ。
だから俺たちはこれから店舗や売場での現状を把握しに行くということだ。
ところで、江藤はなんでこの店舗に来たんだ?
他にもいろんなところにお店はあるだろう。
それで話題になっているのかと思います。
旗艦店で大規模なリニューアルをしたということは、TMスーパーさんの方針、つまりこれからどんなことに力をいれていこうとしているかが店舗や売場に反映されているから注目されてるんだよ。
だから視察に行く店舗を決めるときは、新店や旗艦店、 大規模なリニューアルが行われた店舗を優先的に回るといいよ。
ほかの店舗も見て回れたらいいけど、時間に限りはあるからね。
お客様にとって魅力のある店舗、売場になっているかが、お店に来店する動機になるか、商品を買いたくなるかに直結するからね。
つい自社の商品が気になって売場に直行したくなるけど、それはNG。
車で来ている人が多ければ、少し遠方から荷物の量を気にせずにまとめ買いする人が多いだろう。
自転車や徒歩の人が多いなら、近所に住んでて、都度必要なものを買いに来るお客様が多いと考えられる。
ほら、あそこで袋詰めしてる人、大袋のクッキーとかチョコを買ってる。惣菜も容量の大きいやつだ。
他にも冷凍食品をいっぱい買ってるし、きっと小学生くらいの子供が何人かいるんじゃないかな。
夫婦二人分の夕食の買い出し、って感じでしょうか。
そのうえで売場を見に行かないと意味がない。
バイヤーも店舗や売場の実態までは把握できていないことも多いから、こういう情報を提供したり、問題を示してあげたりすると、すごく興味を持って俺たちの話を聞いてくれる。
とりあえず今日把握できたことはちゃんと記録に残しておけよ。
■本部商談奮闘記 今回のポイント
今回は店舗視察の際のポイントをお伝えして参りました。
「事件は現場で起きてるんだ!」という懐かしいセリフが思い返されますが、店舗視察で得意先の問題(メーカーとしての提案の糸口)を洞察する参考にしていただければと思います。
- ★今回のポイント★
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- 新店、旗艦店、リニューアル店は得意先の方針が反映されている(可能性が高い)
- メーカー目線ではなく、お客様目線で店舗、売場を見よう
- まずはどのようなお客様が来ているかを把握しよう(自社商品が並んでいる売場へ直行はNG!)
筆者