■商談がバイヤーの「検討しておきます。」で終わってしまうと...
提案の最後にクロージングを行うことで、採用率を高めるためのアクションが明確になります。
しかしながら、具体的に何をしたらよいのかわからない、そもそもクロージングを行っていない、というお声もしばしばお伺いします。
「棚替えが行われるまで商談結果がわからなかった」とならないよう、今回はクロージングのポイントや進め方について触れてまいります。
登場人物のご紹介
本コラムの主人公、江藤さんが所属している「MK食品株式会社」のメンバーや、取引先の「TMスーパー」のバイヤーさんなどをご紹介。
カテゴリー市場シェア3位メーカー。バイヤーと直接商談できる得意先は多い。
- 江藤さん(営業担当)
- 前任の急な退職により、急遽TMスーパーの本部担当に抜擢
- 塚田さん(課長)
- 江藤さんの上司で、元エース営業担当
現在は担当先を持たずマネジメントに専念
- 鈴本さん(営業担当)
- MK食品の新入社員
- 椎谷さん
- 頼れる本部スタッフ、のちのち登場予定
関東を中心に伸び盛りなスーパー
SM業界TOP5も見えてきたところ
- 片岡さん(バイヤー)
- MK食品を含むカテゴリーに新しく着任
「前任よりも実績を出していきたい」とやる気満々
■提案~決着までが「待ち」にならないようにクロージングを行おう
塚田課長とともに磨き上げた提案で、片岡バイヤーとの半期商談を行った江藤さん。
ひとつの大きなイベントを乗り切った充実感に浸っていると...
【MK食品 量販営業部オフィス】
たくさんアドバイスをいただいいて万全の準備ができましたので、片岡バイヤーも度々うなずきながら聞いてくれましたよ。
いいお返事がもらえるんじゃないかと思います。
ちなみに、いつまでに返事をもらえることになってるんだ?
あんなに頑張って提案したのに、もしかしたら残念な結果になってしまいますかね!?
そもそもバイヤーはたくさんのメーカーから提案を受けてるだろ?
だから下手したら俺たちの提案を忘れちゃうかもしれない。検討状況だって逐一連絡してくれるわけでもない。
だからクロージングをして商談の決着までを「相手任せの待ち」にしちゃダメなんだよ。
クロージングって具体的になにしたらいいんですか?
そのために主なポイントは3つあって、一つめは相手の期待値を把握する、二つめは前向きな気持ちにさせる、三つめはお互いの次のアクションを決める、ってことだね。
「もし良くない反応だったら...」っていう不安もあって聞きづらいかもしれないけど、この時の反応が最終的な結論じゃないし、仮に悪い反応だったらこの後の挽回を図っていくためにも、まずは現状の期待値を正しく把握するのは大事だよね。
そもそもこちらの提案に前向きな反応なら、より具体的に今後の実施イメージを持ってもらえるような投げかけをするといいよ。
例えば新製品の採用を前提に、「発注はいつごろになりますか?」とか「納品は○月○週目くらいで良いですか?」とかね。
逆に良くない反応だったらどうしたらいいんですか?
これも「どんなことが引っかかっていますか?」って率直に聞いてみるのがいいよ。
提案で実現性があるように伝えてても、クロージングで丁寧に不安を解消しておく必要があるんですね。
昨日、片岡バイヤーに「検討しておきます」と言われて、いつまでに回答をもらえるのか確認していませんでした...。
「○月の施策はAとBだったらどっちがいいですか?」みたいな感じで。
そう聞かれたら「どちらかといえば...」って答えやすそうですね。
相手が黙っているときに話しかけない、ってことなんだけど。
シーンとした空間が気まずくて、つい自分から沈黙を破ってしまいます。
考えを整理する邪魔をしないで、相手が答えを切り出すのを待つんだ。
いまから電話してまずは期待値の把握からだな。
■本部商談奮闘記 今回のポイント
今回はクロージングについて取り上げてみました。
実はクロージングでやるべきことのひとつひとつはそれほど難しいことではありませんが、「結論を迫るのは失礼なんじゃないか」、「良くない反応が返ってきたらどうしよう」など私たちの思い込みや心理的な障壁がクロージングの妨げになっているように思います。
- ★今回のポイント★
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- 提案の採用率を高めるために(商談後に「待ち」にならないように)クロージングは必ず行う
- クロージングのポイントは、①期待値の把握、②前向きな気持ちにさせる、③お互いの次のアクションを決める
- 沈黙は考えを整理しているときなので、相手が切り出すまで話しかけずに待つ
筆者