■半期提案のための重要なポイントを総まとめ
本年2月から連載を開始した本コラムですが、前回の第11回までにたくさんの半期提案のための重要ポイントを解説して参りました。
MK食品の江藤さんの半期提案の決着も見えたようですので、今回はここまでの江藤さんの営業活動を振り返りながら、重要ポイントのおさらいをして参りたいと思います。
登場人物のご紹介
本コラムの主人公、江藤さんが所属している「MK食品株式会社」のメンバーや、取引先の「TMスーパー」のバイヤーさんなどをご紹介。
カテゴリー市場シェア3位メーカー。バイヤーと直接商談できる得意先は多い。
- 江藤さん(営業担当)
- 前任の急な退職により、急遽TMスーパーの本部担当に抜擢
- 塚田さん(課長)
- 江藤さんの上司で、元エース営業担当
現在は担当先を持たずマネジメントに専念
- 鈴本さん(営業担当)
- MK食品の新入社員
- 椎谷さん
- 頼れる本部スタッフ、のちのち登場予定
関東を中心に伸び盛りなスーパー
SM業界TOP5も見えてきたところ
- 片岡さん(バイヤー)
- MK食品を含むカテゴリーに新しく着任
「前任よりも実績を出していきたい」とやる気満々
■初めての半期提案を振り返って...
TMスーパーの本部担当として初めての半期提案を終えた江藤さん。はたしてその商談の成果は...?
【MK食品 量販営業部オフィス】
ちょっと落ち着けって。何があったんだ?
しかもTMスーパーさんのフォーマット全パターンです!全パターン!
あとは棚替え後の売場でお客様に買っていただけるように、TMスーパーさんと商品を育てていってくれよ?
「小売業の問題解決のパートナー」っていうスタンスが大事だってことだったね。
そのうえで解決のためのストーリー、つまりはメーカーからの提案を組み立てていくんだったな。
少しでも提案の説得力や魅力を高めるのは営業担当者の腕の見せ所だな。
片岡バイヤーへの提案の時に「へぇ」とか「なるほどね」とか反応があったんですよ。
ただ、まだデータから自分なりの見解を見出すのは苦手な感じがします...。
市場データやPOSデータの数字はあくまでも結果でしかないから、その数字の変化の要因である「お客様がどう変化しかたか」を想像する癖をつけたら、いつの間にかできるようになってるさ。
そういったお店側の事情についても、事前にバイヤーから聞き出しておいたり、店舗視察の時に情報収集しておくべきことだな。
それに答える形でどんどん導入までの具体的なスケジュールなんかも話すことができたんです。
もしクロージングしていなかったら提案を忘れられていたかもしれません。
さっきも話したけどバイヤーはたくさんのメーカーと商談をしているからね。
提案後に「待ち」になっていると冗談抜きでいつの間にか棚割が確定していた、なんてことになるから、提案後もこまめにコミュニケーションを取るのは大事だね。
いまは3つのゲート×3つのステップの「商談の実施」まで終わったところだ。
導入できた新商品もそうだけど、既存品の棚割の状況、棚替えにあたっての各店からの発注状況、棚替え後の店頭実現状況なんかも逐一チェックしておくんだぞ?
新しい棚割やこれからの販促施策の検証をして、次の棚割りで棚落ちにならないようにこの半期の実績につなげてくれよ?
■本部商談奮闘記 今回のポイント
今回は半期提案の重要ポイントを、江藤さんの営業活動を振り返りながらおさらいして参りました。
過去のコラムの各回にはそれぞれ詳しく解説をしておりますので、改めてご参照いただければ幸いです。
- ★今回のポイント★
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- バイヤーのメーカー営業への期待は「問題解決のパートナー」、「3つのゲート」×「3つのステップ」で得意先の問題解決につながる提案を実現する
- 特に得意先を理解するための情報収集は入念に(得意先の意思決定のスケジュールや、方針・計画、実績や店舗・売場の現状など)
- バイヤーはたくさんのメーカーから提案を受けているので、説得力と魅力のある提案を作り込む(提案ストーリー、データ活用、提案書の魅せ方など)
- クロージングを行い、提案後もこまめにコミュニケーションを取ることで採用の確度を高めていく
- 採用決定後も店頭実現までしっかりチェック
- 次の半期の提案に向けて棚割、販促施策のPDCAを月次商談で回していく
筆者