多くの小売業様では今月から順次棚替えが行われます。
半期の提案が決着しほっと一息つきたいところなのですが、通常2~3か月後先の商談を月次で行う営業活動のサイクル上、今月から次の棚割での定番の維持、拡大を見据えた活動・商談を進めていくことが大切になって参ります。
では具体的に今のタイミングで何をすると、次の棚割での定番維持、拡大が実現できるのでしょうか?
結論は非常にシンプルで、我々の商品がバイヤーの売上や利益などの実績に貢献できていることを示せれば次の棚割も安泰です。
しかしながら、現実的には全ての商品が実績好調のヒット商品、ということでもないかと思います。
そこで、少なくとも秋冬棚割直前の5月~6月ごろの実績は伸ばして、バイヤーに良い印象を与えておきたいところです。「この商品は伸びてるから残さないとね」と思っていただくということです。
そのための打ち手を商談し、合意形成するのがまさに今月の商談です。
「だったら瞬発的に実績を上げるために5~6月の特売の商談をすればよいのか!」と考えたくなりますが、実はもっと効果的な提案方法があります。
それは、継続的にお客様に買っていただくための商品育成プランを提案するという方法です。
まだ買っていただけていないお客様のトライアルをどのように獲得していくか、もう一度買っていただくためにどうするか、その次のタイミングで購入個数を増やしてもらうためにはどうするか、などの販促の目的と流れを明確にしながら、例えば6か月などで次の棚割後の時間軸も含めた「線」での提案を行います。
(※この考え方自体は半期商談時の販促提案と同様です)
実はこの「次の棚割後の時間軸も含めた線での提案」が後々効いてきます。
なぜならば、次の棚割時点では「育成中」の商品として位置づけられるので、仮に競合商品と同程度の実績であったとしても、バイヤーにとってはカットしにくい商品になるからです。
次の棚割提案直前になってABC分析を行い、その時に初めて自社の商品がCランクのカット候補になりそうだとわかってもリカバリーをする猶予がありません。
2~3か月前商談の営業サイクルを念頭に、今月から早めの対策を講じていきましょう。
また、売上や利益貢献以外の視点でもバイヤーがカットできない(しづらい)商品が存在します。
それは、カテゴリーや店舗にとっての重要なお客様が買っている商品です。
重要なお客様とは例えば、同じ商品やブランドを定期的にリピート購入してくれるお客様です。そのようなお客様は、その商品を目当てに定期的に来店・売場に足を運んでくれます。もし、その商品をカットしてしまったら、お客様が店舗の利用をやめてしまうかもしれないので、バイヤーとしては定番から外す決断をするのが難しくなります。
他にも、(他カテゴリーも含めて)高単価品を買う傾向のあるお客様がよく併買している商品も同様です。
そのような商品をカットすることで店舗全体の売上や利益、客単価に影響を与えてしまいますので、定番での取り扱いを継続する、という判断をします。
このように、売上や利益貢献以外でも、特に顧客購買データを活用している小売業では、「重要なお客様」の視点での採用判断をしていることも多くあります。
自社の商品がどのようなお客様に買っていただけているのかを分析し、得意先にとっての重要なお客様を獲得、リピーターとして育成していくための提案もとても有効な手段の一つになります。
ただし、提案したらしっぱなし、とならないようにしましょう。
PDCAを回すことで(回す姿勢を見せることで)初めて「育成すべき商品」「定番に必要な商品」としての認識につながりますので、提案後も月次商談の中で実績や進捗確認、追加施策提案などを忘れずに行いましょう。
商品を定番で育成してカテゴリー実績に貢献する、提案後もPDCAを行い必要に応じてリカバリー提案を行う、というメーカー営業はバイヤーにとってとても貴重な存在ですので、継続することで定番の維持に留まらず拡大にもつながっていきます。
【お役立ち追加情報】 |
【マーケティング研究協会では消費財メーカー様向けに営業力強化をお支援しております!】 食品・飲料、日用品、化粧品、医薬品など、消費財と呼ばれる製品を取り扱うメーカー様における、小売業に対する営業力強化を支援しています。お気軽にお問い合わせください。 |
筆者