4月に入りこれから本格的に秋冬提案を見据えた活動の比重を増やしていくタイミングになってきました。
昨今の小売業は自社の課題解決につながる提案、他社と差別化されたオリジナルの提案を求めています。
特にこのようなニーズは皆様のご担当のなかでも重要な得意先に多いのではないでしょうか?
そのような特に重要な得意先については直前になって慌てないように、今のうちにこれからの営業活動でいつ、何をやっておくべきかの整理に今回のコラムを参考にしていただければ幸いです。
さて、まずは大きな流れから確認していきます。
(ご自身の得意先、自社のマーケティングのスケジュールに当てはめてご確認ください)
まず得意先への提案をいつ行うのか、現時点では細かい日付までは決まっていないと思いますので、○月上旬、中旬、下旬などで仮置きします。得意先やカテゴリーによっても時期は変わってきますが、多くの場合は6月~7月にかけてが多いでしょうか。
当然、この時点では提案(書)を出せる状態にしていなければなりません。
そして、得意先への提案の前には、卸店と提案内容の事前確認・すり合わせをしておくことが大切になります。卸店の立場上、メーカーがどのような提案をするのかを把握しておきたいという理由もありますが、メーカーとしても卸店に提案の後押しをしていただけるよう根回しができますので、卸店との事前すり合わせは必ず行いましょう。
タイミングとしては得意先への提案の2週間前までには実施しておきたいところです。
この時点では提案書が完成していないにしても、提案の骨子はできている状態にしておく必要があります。
また、卸店とのすり合わせ前には社内の上長とも提案の方向性の合意ができている必要があります。
社内のマーケティング情報が発信されるタイミングも関係するので一概には言いづらいところですが、卸店とのすり合わせの2週間前くらいまでに上長と会話ができていると、余裕をもって準備を進められるでしょう。
それまでに必要な情報を集めて、提案の方向性を構想しておく必要があります。
まずはこのような形で目安となるイベントのスケジュールを仮置きしておきましょう。
そして、各目安までの間にやるべきこととその期日を細分化していきます。
特に、情報収集は多岐に亘る活動が必要になりますので、しっかりと計画を立てておくことが大切になります。
念のため、提案に必要な情報とは何なのかを、半期の提案の構成を元に確認です。
詳しくは以前公開しているコラム(量販営業お悩み解決コラム 江藤さんの本部商談奮闘記その6)をご一読いただければと思いますが、「自社商品・ブランドが得意先の課題解決につながる」という提案ストーリーを構成するためには、まず最初に市場や生活者の動向、得意先のカテゴリー動向、店舗・売場の状況、得意先の競合の状況など様々な情報を整理して「いま現状こうなっています」という状況の要約が必要です。
そして、その状況をバイヤーと認識共有をしたうえで、「得意先の方針・戦略を踏まえて」問題を提起し、競合のメーカーの動き方も視野に入れながらその解決策(課題設定と具体的な商品、売場、販促の提案など)を提案します。
整理すると、
- 市場動向(インテージ社SRI+などに代表される市場データなど)
- 生活者動向(生活や消費、商品の買い方、使い方などにまつわる価値観や行動変化の調査データ、家計消費支出、など)
- 得意先のカテゴリー動向(得意先のPOSデータ、なければ出荷データで代用、など)
- 得意先の店舗(出店、閉店状況、店舗フォーマットの種類、主な出店エリアに起こっている変化、など)
- 得意先の売場(棚割、メンテナンス状況、お客様の買い方・選び方、実施している販促、など)
- 得意先の競合の状況(方針・戦略、出店・閉店、売場・売り方、など)
- 得意先の方針・戦略(いつ方針・戦略が決まるか、具体的な内容、など)
- 競合メーカーの動き(どのような販促を仕掛けてきそうか、どのような新商品が出てきそうか、など)
ととても多くの情報が必要であることを改めてご理解いただけたかと思います。
また、これらを漏れなく、提案に間に合うように情報収集するためには、いつ、どのような情報を、どうやって(どこで、なにをして、誰の協力を得て、など)のスケジュールをしっかりと組んでおくということがとても大切なのもご理解いただけたかと思います。
もちろん、これらの情報の中には、提案前の直近のデータまでを活用すべきものもあります。例えば市場データや得意先のPOSデータです。
これらについては当然提案前に直近のデータを参照、分析しますが、随時確認をしておくことで直前のデータ分析に掛ける時間が少なくて済みますし、深い分析にもつながりますので、ぜひ毎月のスケジュールに組み込んで定期的に見るようにしておきましょう。(月次商談でもバイヤーとの進捗確認等に活用できます)
既に知っている情報についても新しく変更されていないかの確認や、マーケティング部門や営業本部から発信される情報はなにがいつ出てくる予定になっているか、なども漏れの無いようにスケジュールに記載しておきましょう。
来月は小売業・得意先の情報収集について配信を予定しています。
来月のコラムも併せてご参考にしていただければと思います。
【お役立ち追加情報】 |
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筆者